ウィドウ:む?
お目汚しネタから数十日、ネタ士山茶花、恥ずかしながら帰ってまいりましたっ
ウィドウ:エウリュアレか? 何のつもりだ? 僕は今ツクヨミ組の残党の掃除で忙しいのだが
エウリュアレ:
目ざわりとお感じになったのでしたら申し訳ございません……、しかしウィドウ様の認定JOBレベルは、今回でカンスト成されたので、お祝いの意をこめまして……
ウィドウ:あぁ、あのウサギどものおかげか、
「ツクヨミ様のかたきぃぃぃぃぃ」としか言えないような連中だったが、なるほど、一応僕の役には立っていたと見える
エウリュアレ:
それでは一時、アップタウンに戻られますか?ウィドウ:そうしたいところだが……、まだここいらのツクヨミ組の残党は掃除しきれていないからな……僕の目を盗んでろくでもないことをしでかしかねん、もうしばらくはここでいようと思う
エウリュアレ:
しかしそれでは、職業の認定レベルは上がらぬままになってしまいますよ?ウィドウ:あぁ、だから、アップに常駐してある分裂体で試験を受ける
エウリュアレ:
……しかし、臨時黒の司祭のレリクス氏は、女性には大変冷たい方とのこと……、取り合ってくれるでしょうか?ウィドウ:あぁ、その辺については問題がない
エウリュアレ:
と、もうされますと?ウィドウ:奴が帰ってきたからな
ウィドウ:―――と、言うわけなのですが司祭殿
黒の聖堂司祭:……職務に復帰して一日目の来客が貴様とはな……しかも転職だと? 私のいない間に貴様もレベル上げに専念していたというわけか、そのあたりは褒めてやろう
ウィドウ:相も変わらず高飛車ですなあなたは……甘いものが抜けたからでしょうかな?
黒の聖堂司祭:ふん、なんとでもいえ、残念ながら私の糖尿はもはや完治した、以前のようにはいかないということをよく覚えておけ……
アンジェリーナ:まぁ、それはおめでとうございます~♪ 今度おいしいケーキ持ってきてあげますね♪
黒の聖堂司祭:……おい、堕天使、貴様は何故奇妙な連中をお供につれてここに来る?
ウィドウ:あなたが困るからですよ司祭殿
黒の聖堂司祭:(くっ、こいつ、その辺も相変わらずというわけか……だが、この程度で揺らいでいては、また以前のようにこいつにあしらわれるだけだ……、平常心、平常心
ウィドウ:……司祭殿、その貧乏ゆすりは見苦しいのでやめていただきたいのだが
アンジェリーナ:お行儀が悪いですよ司祭様
黒の聖堂司祭:……そんなことはいいだろう、それより貴様の転職試験だが……
ウィドウ:供物のシナモン缶と、ダークフェザーの羽ならすでにもって来ましたが?
黒の聖堂司祭:なるほど、予習は完璧というわけか……、だが、貴様にはもう一つ条件がある
ウィドウ:ほぅ、なんでしょうか?
一つお菓子を作って、私にうまいといわせてみせろウィドウ:……なるほど、こいつはやられたな……
<飛空庭>
アンジェリーナ:やられたってどういうことなの?
ウィドウ:いいか、アン、奴はおいしいお菓子を作れとは言わず、「私においしいと言わせてみせろ」といった、そこに問題があるんだ
アンジェリーナ:……えーと、だからおいしいお菓子を作って、司祭さんにおいしいって言ってもらえればいいんじゃないの?
ウィドウ:それじゃダメなんだよアン、たとえうまいお菓子を作っても、奴自身がそう思っても、そこで奴がまずいといった時点で試験は失格となる……すなわちこれは審査員側に完全に分がある勝負なんだ、そして司祭は、先の糖尿病騒動で、僕のことをひどく疎ましがっている、合格させる気ははなからないというわけだ……
アンジェリーナ:う~ん、そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないかしら?
ウィドウ:何?
アンジェリーナ:おいしい料理ってね、たとえいじわるで、まずいって言おうと思っても、食べた瞬間に、思わずおいしいって言っちゃうものなのよ
ウィドウ:……
アンジェリーナ:だから、相手においしものを食べて欲しいって心をこめて作ったら、きっと司祭様もおいしいって言ってくれるはずよ?
ウィドウ:心をこめて……か、なるほど……確かにその通りだな
~数10分後~
ウィドウ:まぁこんなところだな
アンジェリーナ:……なんか、最後にケーキとか入れてなかった?
ウィドウ:気づいたか? 今回の作品はそれがミソなんだ、まぁ見ていろククク……
アンジェリーナ:……(というかこれお菓子なのかしら?
黒の聖堂司祭:来たか、よく戻ってきたな、さぁ、言われたものは用意できたか?
ウィドウ:ええ、まぁしかしせっかくの転職記念の日ですし、少しばかり話しでもしませんか?
黒の聖堂司祭:……ふん、いいだろう
ウィドウ:思えばこの世界に再びやってきたときからあなたには世話になったな……
黒の聖堂司祭:……、こちらもいろんな意味で世話になったよ
ウィドウ:そういえばこの間、お見舞い行ったときのケーキはもう食べていただけましたかな?
黒の聖堂司祭:……嫌味か貴様、その後看護婦さんたちがやってきて全部持っていかれたわ
ウィドウ:そういえば今日は、司祭殿の行きつけの店“漆黒堂”の限定20食のケーキが出る日でしたな、買えましたか?
黒の聖堂司祭:……それは知ってていってるのか貴様? 後一歩のところで買えなんだわ……、そんなことはどうでもいい、さっさと、言ったものを出してみろ
ウィドウ:あぁ、こちらになるが
黒の聖堂司祭:こ……これは……
ウィドウ:(……さすがに見た目がヤバすぎたか
黒の聖堂司祭:……(なんてクヲリティだ、まさかこんな独創的なものを持ってくるとは……、やはり辺境ドミニオン族の長老達が恐れる程の実力者……、パティシエとしての実力も並以上というわけか……
ウィドウ:(む、あっさり手を伸ばしたな、もっと躊躇うかと思ったが
黒の聖堂司祭:……(しかしここであっさり食してしまい、すぐにけりをつけるのもつまらん、ここはもうちょっと引いて……
アンジェリーナ:(あ、食べた
黒の聖堂司祭:うま!(ククク、奴の悔しそうな顔が目に浮かぶぞ……、今まで舐められっぱなしだったが、今回は残念ながら私の……
ウィドウ:……僕の勝ちだな
黒の聖堂司祭:なんだと? む、ところで堕天使、先ほど貴様が出した独創的なケーキはどこにいった?
ウィドウ:……まさかあなたは無意識で完食したと言うのか……だが、僕は確かにあなたがうまいというのを聞いたぞ? なぁアン?
アンジェリーナ:え、えぇ……それはそれはおいしそうに食べてらしたのよ?
ナ、ナンダッテー!?ウィドウ:……まぁしかしこれも僕の気持ちが通じたからでしょうかな……
黒の聖堂司祭:どういうことだ?
ウィドウ:言葉通りの意味です、こちらのアンジェリーナに教えられましてね「おいしいものを食べてもらいたいと心をこめれば、どんな料理でも相手はうまいといってくれる」と
黒の聖堂司祭:ま、まさかお前……
ウィドウ:あなたとは名目上だけだが師弟の間柄であり、そして、僕の大事な人間でもある、そのケーキはいわば、僕のあなたに対する気持ちを表したものです、そして、あなたはおいしいといってくださった、とても光栄です
黒の聖堂司祭:……(まさか憎まれ口ばかり叩いていたこいつも、内心では私に対する尊敬の念を忘れてはいなかったというわけか……、それに引き換え私は何だ、そんな奴の心も理解せず、こんなくだらない嫌がらせまでして……
ウィドウ:さて、司祭様、それでは
黒の聖堂司祭:あ、あぁ、試験は合格だ……それでは……グ!?
ウィドウ:おやぁ、どうなされましたかな司祭様? 顔色が優れないようですが?
黒の聖堂司祭:だ、堕天使貴様……、あのケーキに何を入れた?
ウィドウ:だから言ったでしょう、僕の気持ちと、
まぁその内訳は特製魔法虫下しクリームと、漆黒堂の限定ケーキ20食黒の聖堂司祭:き、きさまぁぁぁ!? まさかあの時前に並んでいた20人は!?
ウィドウ:あぁ、僕が作ったダミーヒューマンです、よくできていたでしょう? 厳密に言えば19人ですな、一番前に並んでいたのは僕でしたので
黒の聖堂司祭:ぐ、グググ……おのれ堕天使、謀ったな……
ウィドウ:言っておきますが僕は一言も嘘を言っておりませんよ? あなたは大事なおもちゃであることは事実ですし
黒の聖堂司祭:!?
ウィドウ:それに、このケーキには確かにあなたに食べてもらいたいという気持ちをこめてありますよ、まぁ、簡単に言いますと、こういうわけです
ウィドウ:とまぁ、結局あれから司祭は出てこなかったが、何の問題もない、儀式に対する知識はすでにあったから、何分自分の家でやることも不可能ではない、まぁ、それでは何故分裂体まで使用して、わざわざ、黒の聖堂に行っていたのか、という話だが
ただの暇つぶしだ
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